相手に見破られずに商談で使える5つのミラーリング効果とは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「ミラーリング効果」という言葉を聞いたことがあると思います。

好意を寄せる相手のしぐさや動作を無意識に真似てしまったり、あなたと同じような行動や表情をする相手に好意をいだく効果のことをいいます。

ビジネスではこの効果を利用して、初めて会ったお客さんに対して、こちらから相手に好意を持ってもらうように意図的に働きかけを行うテクニックとして紹介されていますね。

言い方を変えると「類は友を呼ぶ」という原理を利用して相手に「私はあなたと同類ですよ」ということを演じるということです。

つまり似た者同士は友達になりやすい、というわけです。

でも、なぜ似た者同士が親しくなったり、群れたりするのでしょうか?

どんな心理がそこに働いているのでしょうか?

ミラーリング効果の原点「類は友を呼ぶ」

余談ですが私がアメリカに留学していた頃、まさに「類は友を呼ぶ」を強烈に感じさせられる体験がありました。

その大学は世界各国からの留学生を広く受け入れることで有名でした。

広大なキャンパスの中央に「Student Center」と呼ばれる施設があって、その中に大きなカフェがありました。

たぶん300人くらいは余裕で座れるくらいのテーブルとイスがあったと思います。

学生たちは、授業の合間や放課後に自由にそこでおしゃべりしたり、ミーティングしたり、勉強したり、食事をしたりしていました。

私もよくそこを利用していました。

興味深かったのは、ある程度その席の取り方に法則のようなものがありました。

まずは国別でだいたいの塊になり、次に地域(アジア、アフリカ、中近東、ヨーロッパなど)、最後は人種(白、黒、黄色)というような感じでした。

みんな似たような人たちから順にグループを形成しているのです。

まさに「類が友を呼んでいた」という感じでした。多人種のイメージ

世界の縮図をそのカフェの中で見ることができたのです。

日本人である私は、個人レベルでは欧米の人たちよりも、やはりアジアの人たちの方が気持ちを分かち合える人たちだと感じました。

おそらくそれは今でも変わることはないと思います。

仮に政治的な先入観がなければ、それはお互いが異国の地でマイノリティー同士になった時に、すごくよく分かるはずです。

誰もが体験してきたミラーリング効果

身近な例で言えば、初めて学校のクラスメート達と顔を合わせた時や会社に入社した時のことを思い出してみてください。

最初は席が近い人から会話が始まりますが、次第に自分とウマの合う自分にとって居心地のいい人を探し始めます。

居心地のいい人とは、安心感のある人、つまり自分にストレスを与えない感じの人です。

ストレスを与えない人とは、自分に危害を加える可能性が低い人になります。

自分に危害を加える可能性の低い人とは、究極的には自分自身ということになります。クラスメートのイメージ

つまり自分と同じ考え方や感じ方をする人を無意識に求めているのです。

同じ思考や価値観をもっている人であればわかりあえるだろう。

そんな人が自分にストレスを与えることはしないだろう。

そんな意識が働いているのです。

「Student Center」で見た光景は、育った環境や、見た目、文化、その他の価値観が近ければ近いほど安心できるから、自分に危害を加える可能性が低いから、だから似た者同士で群れを作っていたのです。

ミラーリング効果を商談で活かす方法

この「自分に似ている」というミラーリング効果を使って相手に親近感を覚えてもらい、好意を持ってもらうテクニックは特に恋愛テクニックとしてよく紹介されています。

でも、相手に好意に感じてもらうという意味では、当然ビジネスにも使えます。

とくに商談をスムーズに進める中で効果を発揮します。

視覚的には相手の仕草をまるで鏡に映ったように真似るわけですね。

相手が足を組んだら、自分も足を組んだり、相手がお茶を飲んだら、同じようにお茶を飲んだり…

お客さんとあなたが似た者同士なんだよ、と分かってもらうことで安心感を与えようとするわけです。

お客さんには色々なタイプの人がいるので、このテクニックを使いこなすことができれば、あなたの営業の幅も広がります。

ただし、お客さんを真似るといってもその動作を真似ることがすべてではありません。

単にビジュアル的な仕草だけを真似ているだけでは、その効果を高めることはできません。

お客さんがお茶を飲んだら、あなたもお茶を飲む…

これだけで成約に結びつくなら、誰でもスーパーセールスマンです。

しかも、このビジュアル的な真似事は相手に見破られた時に相当なマイナスイメージになります。

「そんなテクで丸め込められないぞ」と逆効果になるリスクの方が高いと言えます。

実際にお客さんの立場にまわると、かなり気持ち悪いです。

まだ相手のしぐさを意識して真似ている時ほど、見破られる確率が高くなります。商談のイメージ

大切なのは、もっと内面的なミラーリングです。

これなら見破られることも少なくなりますし、何より視覚的なミラーリングよりも効果的です。

特に気にするべきは、お客さんの話し方です。

商談という限られた時間内では会話の仕方が一番お互いの性格を判断する情報になるからです。

5つのミラーリング効果でお客さんに安心感を与える会話術

では、会話のどんなところをミラーリングすればいいのでしょうか。

大まかに5つのポイントを押さえておいてください。

1. お客さんの話すスピード

お客さんの話すスピードをよく観察してそれに合わせます。

ゆっくりした口調のお客さんに対してあなたが早口で接すると、お客さんはあなたのコトバをすべて理解できなかったり、あるいはあなたをセッカチな人と思うでしょう。スピードのイメージ

逆に早口のお客さんにゆっくりした口調ではなしていると、お客さんはそのスピードの遅さにイライラしたり、あなたの話の途中で平気に割り込んできます。

ただ話すスピードは、あなたにも独自のテンポがあるので、早く話すことも、ゆっくり話すことも絶対に練習が必要です。

なので普段からロールプレイングをしっかりやって身につけてください。

2. お客さんの話す声のボリューム

お客さんの話す声の大きさも人それぞれです。

企業の社長さんや経営者の人は往々にして声が大きかったりします。

声の大きな人に小声で対応しようものなら、その語気の強さに圧倒されてすべてお客さんペースの商談になってしまうでしょう。ボリュームのイメージ

逆に声の小さな人に、大きな声で応対するとお客さんはそれに圧迫感を覚えて萎縮してしまったりします。

お客さんの声の大きさにも十分注意を払って、同じボリュームで話せるようにしましょう。

3. お客さんの話し方の丁寧さ

初対面の時からいきなり「タメ口」というお客さんもいれば、ものすごく紳士/淑女的な丁寧な話のされ方をするお客さんもいます。

正直な話、いきなりタメ口のお客さんは、あとあと問題になるケースが多かったりしますのでラフな人にはそれなりにラフな口調でも構いません。

それで気分を害して文句を言ってくるような人は早々に帰ってもらいましょう。

無理に顧客にしても振り回される確率が高いです。

あるいは、極端なほどにジェントルマンに徹した対応をすることです。丁寧さのイメージ

相手が恐縮して襟を正し、丁寧な言葉づかいに変わるのであれば、その人は見込み客になる可能性があります。

それは、お客さんがあなたに敬意を払いはじめたサインと言っていいでしょう。

もちろん最初から丁寧なお話をされる方には徹底的に丁寧に対応して下さい。

丁寧なお客さんはあなたの知性をあなたの話し方から感じ取ろうとしています。

なので「スゲー」とか「ヤベー」とか下品なコトバは控えた方が無難です。(お里が知れてしまいます)

4. お客さんの会話に相づちを打ってコトバをリピートする

人前に立って何か話をする時、相手が表情を変えずにあなたの話を聞いているのと、相づちを打ちながら聞いてくれているとでは、明らかに相づちを打たれていた方が安心感があって、話もノッテきます。

「あ、自分の話をちゃんと理解してくれているんだ」と安心できるんですね。

商談の時には、相づちとともに要所要所でお客さんのコトバをリピートしてあげたり、別の言い回しで返してあげたりするとお客さんの安心感はさらに増します。

(相づちは文節の都度で大丈夫ですが、リピートはあまり頻繁だとうっとおしいので、話のトピックスが移る時に1つ2つ入れる程度でいいでしょう)相づちのイメージ

お客さん:「最近ネットで広告だしたんだけど、(ウナズキ)なかなか売り上げ上がらないんだよねぇ〜」

あなた:(ウナズキ)「リスティング広告だされたんですね。広告費も結構かかりますよね」

お客さん:「そうそう、けっこうバカにならないくらいの出費でね、(ウナズキ)ちょっと驚いちゃった」

あなた:(ウナズキ)「ほんとにそれは大変ですね」「あ、そう言えば同じ広告費かけるのでもちょっと面白いのがありますよ…」

5. お客さんよりも1割程度あなたのテンション、ペースを上げる

もう一つ肝心なことは、お客さんの話し方のスピードやボリュームやテンションのような五感を刺激するところは、お客さんよりも1割程度高めにあなたの話し方をアレンジするということです。

特に商談の後半にかけてそのことを意識するようにしましょう。

ここまでは、あなたがミラーリングをしてきたわけですが、最後はお客さんにあなたのことをミラーリングしてもらうのです。

無意識のうちにお客さん自身も、あなたの話し方に影響を受けています。

あなたのテンションや熱さといったものをお客さん自身に映し出すのです。ペースアップのイメージ

基本的に熱というのは、温度の高いところから低いところへ流れます。

あなたの熱をお客さんに流すのです。

そしてお客さんをあなたの熱やテンションに引き上げてあげていきましょう。

クロージングに向けて、そのテンションを最高潮に持っていくようにアレンジできれば言うことありません。

まとめ

ミラーリング効果を知っておくと、人と話をするときにあなたのペースに持ち込みやすくなります。

お客さんに安心感を与えることで、いろんな本音も引き出せやすくなるでしょう。

お客さんとあなたは、「とても似た者同士なんです」ということを感じてもらってください。

お客さんが北川景子でも黒柳徹子でも北大路欣也でもホリエモンでも、誰が来ても対応できれば成約率は当然上がります。

もちろん、頭で考えているだけではできませんから練習が必要です。

毎日のロールプレイングのメニューに組み込んで、いろんなバリエーションを試してみましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*