
商品やサービスの説明までは、自信を持ってできるんだけど、そのあとが続かないんだよね…
こんな方多いですよね。
つまり最後の詰め、いわゆる「クロージング」ができない人がたくさんいます。
せっかく熱くなっているお客さんの背中をおすことができなくて、それまで時間をかけてきた労力を無駄にしてしまっています。
じつは、あとほんのひと押しを待っているお客さんも多いのです。
最近は「売り込むと嫌がられるから」という意識が強く働きすぎているせいか、買わせてくれる営業が少なくなったようにも思います。
なので、商談をするのであれば必ずクロージングをしましょう。
買わないひとは、何をやっても買いません。
買うひとに買わせてあげるようにしてあげるのが営業の仕事です。
決してお客さんの購入にブレーキをかける存在になってしまってはいけないのです。
それでは、具体的にクロージングでは何をしたらいいのでしょうか?
1. 席につかせる
クロージングに入るときは、まずお客さんを席につかせましょう。
お客さんがあなたの話に聞く耳を持たせる環境を作ることが大切です。
お客さんがあっちにフラフラ、こっちにフラフラする状況ではかんたんに話の腰を折られてしまいます。
お客さんにも、「さあこれから売り込みが始まるぞ」と襟を正させる必要があるのです。
プロポーズをしたり、ひとに何か大切なことを話す時だって、やはり話す時の環境を考えますよね。
それはあなたの真剣さを相手にもわかってもらうための大切な儀式なのです。
「お茶でもお出ししますので、どうぞお掛け下さい」とサラッと声がけしましょう。
2. 見積書を3パターン準備する
あなたの扱っている商品・サービスによって多少の差はあると思いますが、クロージングでは必ず金額のわかるものを提示しましょう。
具体的には「見積書」です。
そしてできるだけ価格のグレードを分けたものにします。
いわゆる「松竹梅」ですね。
うなぎ屋さんでいう「並」「上」「特上」です。
一番安く買える金額、スタンダードな金額、フルオプションの金額がわかるようにします。
ここで大切なことは、お客さんに「買う/買わない」という半か丁かの決断を迫るのではなく、「3つのうちのどれにしますか?」という取捨選択に意識を向けるということです。
見積もりを出す順番も値段の高い方から順番に提示してあげましょう。
そうすれば、3番目の「梅」の見積書が「安い」と感じてしまうものです。
ちなみに見積書を出すときは、「見積もりを出しましょうか?」と疑問形にしないことが大切です。
だいたいは「今はまだイイです」と断られます。
「カンタンにお見積もりだしますので、お茶でも飲んでてください」と準備しながら軽く言いましょう。
3. お客さんの事例をはなす
クロージングではあなたの主観的な意見を言う前に、これまでの他のお客さんの実例を話してあげましょう。
いま商談しているお客さんの状況に近い事例があれば、それを話してあげるのです。
「実はこんなお客さんが先日お越しになって、○○さんと同じことで悩んでいらっしゃいまして…」とストーリーを話してあげます。
「今はすっかりお困りごとも解決して、とても楽しんでいらっしゃいますよ」
今で言う所の「カスタマーレビュー」ですね。
実際にあなたの扱っている商品・サービスを使っている「お客さんの声」は、とても説得力のある営業トークになります。
そのストーリーに共感をしてもらうことでお客さんが実際に使っている場面を想像してもらうわけです。
頭の中でビジュアル化することで、お客さんの感情を高ぶらせてあげましょう。
4. 「これでいかがですか?」を3回言う
クロージングでは最後の最後まで引っ張ったあとで「どうですか?」と投げをうつのではなく、会話の要所、要所で「これでいかがですか?」と問いかけてみましょう。
上手な営業マンの会話のながれは、無駄がなくてスムーズです。
とても自然な感じでお客さんに問いかけするので、商談の空気が乱れません。
種が芽になり、そしてツルが伸びて花が咲く、そんな感じです。
外から見ても分かるくらい、まさにその席に華が咲いているような雰囲気になっています。
なので最初は軽いジャブのような感じで笑顔でスタートした「これでいかがですか?」も、最後は真剣モードで「これでいかがですか?」と言ってみましょう。
よく「これでいかがですか?」と言った後に「うふふふ」と笑ってしまう人がいます。
「NO」と言われることの恐怖から逃げるために、自ら空気を和らげようとするためです。
でも、ここで笑うのはやめましょう。あなたが真剣であればあるほど、お客さんも真剣になります。
お客さんにも、緊張感を持たさなくてはダメです。
5. 場のテンションが下がってきたら、お客さんに席を立たせる
クロージングでお客さんを席につかせた後、会話にもテンションの山と谷があります。
なんどか投げを打ってみたものの、お客さんがまだ煮え切らないこともよくあります。
咲いた華がしぼんできてきまうと、なかなか成約に結びつきません。
そんなテンションが下がってきたなと感じたら、あなたからお客さんを誘って何かを見せたり、体験させるためにいったん席を立ちましょう。
フィジカルな動きをお客さんに与えて血流をよくしてあげたり、お客さんが最初に感じた感激や喜びをもう一度思い起こしてもらうことができます。
クロージングにおいては、その場のテンションの低下は致命傷になります。
かりにその状態でお客さんを帰してしまうと、イイ返事をもらえる確率もガクンと落ちます。
常に高いテンションを維持しておくことが大切です。
なので、もし場の空気がヨドんでいたら一度席を立ってお互いにリフレッシュすることをお勧めします。
6. 限定性を持たせる
人は「いつでも買える」と思うと、なかなか行動できない性質を持っています。
つまりクロージングでは「焦らせる」という工夫が必要です。
なので何か限定的なものを用意しておきましょう。
「数に限りがあります」、「これが最後です」、「今ならこんな特典がつきます」、「今日だけの特別な値引きです」「いまなら(納期)間に合います」などなど…
お客さんが、「いま行動しないともったいない」と思ってくれるような提案を用意しておきましょう。
これがあるとないとでは、成約率が変わってきます。
7. つねに「即決」の心構えでいる
クロージングの基本的な心構えとしては、「即決」です。
お客さんにその場で契約してもらうことが大前提です。
高い商品だから「即決はムリ」と営業側が思っている限り、その場で決まる確率は大きく落ちます。
また、後でしっかりフォローするから大丈夫という考え方も、その場では捨ててください。
(もちろんフォローは大切ですよ)
なぜかと言えば、お客さんの気持ちが最高潮に達するのは、まさにあなたと相対している商談の時なのです。
いったんその場を離れてしまえば、確実にそのテンションは下がっていきます。
あとで電話をしたり、ハガキやDMを送ったりしてもそのリアルに会っている時のテンションをお客さんの自宅や会社で再現することは不可能なのです。
まさに「鉄は熱い時に打て!」と同じです。
なので、お客さんのためにその商談の場でできることはすべてやってあげましょう。
あなたの最高のパフォーマンスを発揮して、お客さんの心を震わせた瞬間を射止めましょう。
まとめ
クロージングは商談の最後を締めくくる、とても大切なセクションです。
もう一度おさらいすると、
①席につかせる
②見積書を3パターン準備する
③お客さんの事例を話す
④「これでいかがですか?」を3回言う
⑤場のテンションが下がってきたらお客さんに席を立たせる
⑥限定性をもたせる
⑦つねに「即決」の心構えでいる
心のこもった、あなた自身が力を出し切った商談の後というのは、とても疲れます。
でも、気持ちのいい疲れです。
そんな商談のあとにお客さんから手紙やメールが届くことがあります。
「あんなに情熱的にお話ししてくれてありがとうございました。本当に行ってよかったです」と。
ちょっとしたコツとあなたの情熱を注ぐことができれば、成約率は上がります。
なので、しっかり練習もしてクロージングにのぞんでくださいね。